12月14日(火)に六本木ヒルズ森タワーで行われた「アカデミーヒルズ」講演会、「世界一の星空を作る」に参加してきました。講演者は「メガスター」の大平貴之さん。
例によって会場でとったメモを手直しして貼っつけです。
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■そもそもプラネタリウム作りに興味を持ったわけ
・小学五年のころ
・理由は思い出せない
■最初に作ったプラネタリウム
夜行塗料で、紙にオリオン座を描いて、壁に貼った。
皆に驚かれたので、どんどん星座を増やしていった。
そして、人を呼んでは説明するように。
■忘れ物の多い子供だった
「忘れ物グラフ」でクラスダントツだった。
そんな自分が誉められた!
→プラネタリウム作りにハマっていく。
夜行塗料では満足できない。科学館にあるような本物を作りたい。
■雑誌の付録に、ボール紙の組み立て式ピンホールプラネタリウム投影機が
確かに映ったが、期待していた程綺麗ではなかった。
→しかし、原理を学ぶことができた
■ピンホール式では限界がある
科学館にあるような、レンズ式を作りたい。
当時は超高級品。国産化されていなかった。一つ買うお金で小学校が2つ3つ建つ。
小学校時代に、設計図までは書いたが、断念。
■高校時代のプラネタリウム
物理部で「Model-2 Project」
レンズ式はあきらめて、ピンホール式の限界に挑んだ。
穴を開けるのではなく、フィルムに星を焼き付けたものを使用。
■当時はものづくりそのものに夢中だった
・友達が、バイク通学していた
→うらやましい。でもお金も免許もない。
→ジェットエンジンを作った
何を考えたか
→自転車に付ける!安いし免許いらず。
→製作時の騒音や技術的問題から断念。
・ロケット制作
→固体燃料ロケット
→最大で全長1m。到達高度2000m。
→材質カーボンファイバー
友人はアルミ制のロケットを作っていた。レーダーに映り、戦闘機がスクランブルで飛んできた(実話)
これで色々なことを覚えた。
・プログラミング
・コンピューター
・化学反応
・物理法則
ゆくゆくは人工衛星を打ち上げたい、と思っていたが、あきらめて、再びプラネタリウムに目を向けた。
■大学時代
今度こそ、レンズ式プラネタリウムを作りたい
■その仕組み
サッカーボールと同じように、レンズを32面組み合わせて天球にする。
恒星原盤の作成が一番難しかった。
目標、星3万個。どうやって穴を正確に開けるか?
ここでロケット製作の時のプログラミングの知識が生きた。
→コンピュータに星をプロットさせる。名付けて「マイクロプロッター」
大成功!「アストロライナー」完成。
各地に上映しに行った。
■しかし栄光は続かなかった
簡易ドームか風に飛ばされ、投影機も巻き込んで壊れた。
「このままでは、駄目だ」
アストロライナーは「使いやすさ」は考えずに作った。
→重量100kg
→家の2階で作っていたが、運び出すときまでその使いにくさに気がつかなかった
■「アストロライナー2号構想」
・30kg以下。大人一人で持ち運べること(自分の体を鍛えることも考えたが、自分以外が運べないと意味がない)
・縦横46cm以下。乗用車(自宅の車)で運べること
→途中で父親が車を買い換えて計画が狂ったが、助手席に乗せることで解決
・スーパーマイクロプロッター開発。より精密な星空を。
当時社会人だったので、ボーナス2回分をはたいて、夜な夜な開発。そして完成。
名前を「メガスター」と改称。
■ハンドキャリーでイギリスへ
"How many stars?"
"One million."
"Pardon?"
重量27kg。手で持ってきた。でも世界一の数を映し出した。
当時、そんなに星を移しても意味がないと思われていた。目に見えないから。
でもオーストラリアで星空を見た経験から、目に見えない星まで再現することに意味があることに直感的に気が付いていた。判別が付かないような一個一個の星が天の川を作っている。
■国内初上映は美術館
・表参道「スパイラル」
乗り換えに使ったことぐらいしかなかった駅
ファンレターが届くようになった。
『素敵すぎて隣にいた彼氏と結婚したくなりました』
・「俺の汚い部屋から綺麗なものができた」
・「これは少子化対策だ」
■メガスターの課題
・直径12mまでのドームにしか移せない
■メガスター2
目標
・直径20mまで
・より高精細な星空
・通常の3倍(もちろん赤い)
完成品
・25mまで
・500万個の星
今まで全部で4機作った。全部に固有の名前を付けた。1号機は、プラネタリウム復活ののろし
「フェニックス」
■ホームスター
バリエーションたくさん
・ホームスターアクア
・ホームスタースパ
・ホームスターバースデイ
私だけでは思いつかなかった。おもちゃ屋とのコラボの結果。
技術は公に発表された時点で自分だけのものではないのだ。相乗効果で色々生み出される。
■本も書いた
■ネスカフェのCMにも出演
ダバダー ダーバ、ダバダー ダバダー
■当初の計画
1.メガスターシリーズ(メガスター→メガスターII→メガスターIII)
→大型プラネタリウム計画。超リアル、大型ドーム向け。
2.メガスターJr.シリーズ
→ホームスターとして実現
着々と実現中
■全天周CG映像も開発を始めた
JAXAや極地研とコラボも。
・ロケットからみた地球
・ゴンドワナ超大陸分裂の再現
■スカイプラネタリウム
コンセプトは「星空を歩けたらいいね」
星空の庭園構想
・ウォークスルー型プラネタリウム
・座席に座ってみるのではなく、美術館のように回覧するプラネタリウム
・森ビルの「都市模型」とコラボ
→自分の作った星空の下に都市が!
■質疑応答
Q.一番の挫折は?
A.よく聞かれるが、挫折の経験はあまりない。一番は、設計したデータを入れたハードディスクがクラッシュしたこと。あまり挫折がないのは、目標の設定を小刻みにして、手の届かない目標は設定しないできたから。一つ達成すると、できることが増え、手の届く範囲が増える。少しずつステップアップしていった。
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講演会の後、大平技研と森タワーのコラボで生まれた「スカイプラネタリウム」を観てきました。
4つのセクションに分かれていて、そこを「ウォークスルー」するのですが、一つ一つのセクションの「星空の中にドラマをみせる」演出が素晴らしかったです。「ドームじゃない」と侮っては損。新しいプラネタリウムの形だと思います。
2011年の2月13日まではやっているようなので、一度観に行ってみては。
更にその後、森タワー屋上のスカイデッキに上がってふたご座流星群観望、といきたかったのですが、僕が上がったときには曇っていて見られませんでした。上がる前に3つほど大きな火球が見えたと聞いていただけに、残念。