2023年12月17日日曜日

『劇場版 ポールプリンセス!!』を観てきた

(この記事は2024/04/14に加筆修正しました) 

・「ポールを軸に回転する」という競技の特性を「見える景色が180度変わる」という演出に昇華できていてうまかった。最後のヒナノのショーは白眉。

・どのキャラも演技後の決めポーズ(キメ顔)にこだわりを感じられて良かった。あそこに各キャラクターの魅力が詰まってる。

・主宰が熱くなってる理由について、スバルの予想に反して賞金が目当てだった的なオチが付くのかと予想したが、外れた。

気になった点
・物語パートとライブパートの「現実感の温度差」が大きく、没入の妨げになったと感じた
・もっと架空の世界観、架空の競技であれば「そういうもの」として飲み込めるところなのだが、練習風景などは「ああ、現実のポールダンス教室を取材したのだな」と感じられる作りになっている一方で、ショーが始まると一気に非現実感が高まる。
・物語中では基礎練とトリックの練習しか描かれないが、舞台の上ではオリジナル曲を歌ってダンスをしながらトリックを披露している。
・そして一番気になったのは演者ごとに大きく変わる舞台装飾
    ・審査員制の技術を競う大会でそれは必要なのか
    ・むしろ審査のノイズではないのか
    ・あるいは舞台や衣装のコーディネートも含めたトータルな得点で審査されるのか?
    ・舞台装飾も演者が自分で考えているのか
・などなど考えるともはや「ポールダンスの大会」というよりそういうオリジナル競技あるいはショーに思えてくる
・(他作品だが)ポールプリンセスにおけるポールダンスは、「プリズムショーにおけるスケート」と同じ位置になっている
・「ポールダンスであること」を推しポイントにするなら、舞台装飾は共通にするなど、もっと視聴者にポールダンスに集中させる作りにしても良かったのではないかと思った。
・プリティーリズムも競技性の強いシリーズだが、大会ごとに、皆が同じステージで各々のショーを披露していることが、競技感の演出に一役買っていたと思う。
    ・ドリーミングセッションではドリーミングセッションの会場で、クイーンカップではクイーンカップの会場で。共通のステージで各々のショーを披露していることで、これは競技なのだという感が増していた。
    ・舞台装飾をキャラ毎に大きく変えられてしまうと、アイドルライブっぽさが増して大会感が薄れてしまう。
・劇中のポールダンスを全く新しいエンタメとして推していくなら今の路線でもいいと思うんだけど、(現実の)ポールダンスの魅力を伝えたいという意図もあるなら、もう少し現実と地続き感のある演出にした方がその目的に適うのではないだろうか。
・もっとポールダンスそのものに集中させる絵作りしても十分映えると思う。ポールダンスにはそのポテンシャルがあると感じた。
・ショーを各キャラクターのPVとして見るなら素晴らしかった。各々が自分の魅力を最大限表現できるステージの上で、自分自身をテーマとした曲を歌って踊る。楽曲もダンスもトリックもクオリティが高く、プリティーシリーズを通して培われた3DCGショーの技術の粋を感じられた。

・余談になるがキンプリは(狙ってなのか、予算とか技術とか諸々のタイミングが噛み合った結果なのかはわからないが)その辺うまく辻褄が合っていて、ステージが演者ごとに変わるようになったのは観客審査制のプリズム・ワンになってからだった気がする。(演者がステージを組み換えた例は除く)