2010年11月1日月曜日

地球深部探査船「ちきゅう」カフェ動画の補完エントリ

9月25日に、講師にJAMSTECの倉本真一さんをお迎えした地球深部探査船「ちきゅう」のサイエンスカフェが三鷹で行われ、そのスタッフ(というかファシリテーターその2)をして参りました。

Youtubeとニコニコ動画でサイエンスカフェの録画を公開しているのですが、動画ではお見せできなかった「ちきゅう」本船とのビデオ通話の部分と、録画失敗していた部分を補完するエントリです。

Youtube再生リスト
http://www.youtube.com/view_play_list?p=86502585299E87F3

ニコニコ動画
前編 : http://www.nicovideo.jp/watch/sm12329283
後編 : http://www.nicovideo.jp/watch/sm12616585

【注意】これは9月25日時点でのお話です。つまり「ちきゅう」がまだ沖縄トラフ掘削の最中。その点を理解した上でお読みください。

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■「ちきゅう」船内とのビデオ通話
JAMSTECの吉澤さんがQ & Aに答えてくださいました。

─ずばり、今なにをしていますか?
掘削をして、サンプルを取り終わったところです。熱水まで到達して、ケーシングパイプ(※)に蓋をするということを先程やりました。無人探査機(水中ロボット)を使って、直径1mくらいの蓋を深海まで持って行って、さっき見事蓋をしたところです。航海が残り10日あるんですが、まだ調査していないところがあるので、これからそっちに向けて移動する準備をしています。 

※掘削孔が崩れないように保護するパイプ 

─そこ(Skypeのカメラに映っている場所)はどこですか?
この部屋は「カンパニーオフィス(※)」といって、船のこれからの行動を決める司令室のようなところです。JAMSTECのメンバーはこの部屋で、次の行動をどうするかとか、問題が起きたらどう対処するかを話し合います。

※石油掘削からの慣習で使われる用語。石油掘削を監督する企業をカンパニー、その企業に雇われて掘削を行う業者をコントラクターと呼ぶ。この場合、カンパニーとはJAMSTECを指す。乗り込んだ世界中の研究者たちが「コントラクター」だろうか。

─船の住み心地はどうですか?
特に辛いと思ったことは今のところ無いです。ちょっと食事は飽きてきましたけど。この船は禁酒なので、そろそろシュワシュワっとしたものが欲しいといえば欲しいです。

─今の外の様子は。
天気は良いですが、ちょっと波が激しいです。9月には台風が3個4個この海域を通るという統計が出ているんですが、今回の航海の主席研究者の高井先生がすごく運が良いらしくて、未だ台風の直撃には遭っていません。 

─インターネットはどうしていますか。
衛星経由の通信を使っています。船から、商用の通信衛星を経由して、インターネットに入っていると。ただ、Skypeが今ギリギリ見えてるかな、という速度です。今は南極でも光ケーブルが入ってるらしいですけど、とてもとても海の上ではそんなことはできないですね。後は、天候によって、嵐が来たりすると、衛星との通信状況が悪くなるので、テキストメールを送るのが精一杯みたいな時もあります。
民間の衛星を使っていて、シンガポールの地上局を経由してるんですよ。それが一番安い。VSATというシステムなんですね。


─JAXAの高速通信衛星「きずな」などは使わない?
JAXAさんとは実は今も話をしています。「ちきゅう」でもやろうという話はある。ただ、この船いくら定点保持を出来ると言っても、ころころ向きを変えるんですよね。その辺がうまくクリアー出来れば、夢のブロードバンドも来るんじゃないかと期待しているんですけど。

─様々の国の研究者が乗っていると思いますが、一番困ったことは?
船内で、公式に話すときは英語で話すのですね。でも、英語がネイティブな方はそんなに多くないので、例えばフランスの方と話すときは、お互いウーンとか唸りながら会話したり。まあ、それほど困ってないですよ。皆仲良く、卓球大会したりしてます。

─「ちきゅう」から見る星空はどうですか?
「ちきゅう」は眠らない船で、夜もデリックには明かりが灯りっぱなしなので、実はあまり星をじっくり見られない。

■録画失敗していた箇所
ファシリテーターから倉本さんへの質問

─「ちきゅう」の測位はどうしてますか?
「ちきゅう」は自分の位置を知るのに、GPS衛星、地上の基準局からの電波、海中に下ろした音波発生装置、の三つを利用している。

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今回のサイエンスカフェの主催は「顔が見えるサイエンステール」のカンガルーさんです。素敵な機会をどうもありがとうございました。
また、講師を引き受けてくださった倉本真一さんにもこの場でお礼を。ありがとうございました。